右手をひらき猫の背中に乗せ、そのまま操作できるゲームコントローラーを開発しようとしている。どんなひとから命令されたのかは忘れてしまったけれど、とにかく作業にかからないといけないことは決まっているようだ。

左手に持つコントローラーにはスティックに加えて、なるべく多くのボタンを配置し、右のぶんを補うようにした方がいいだろう。では、猫に当てた右手で、何をどのように操作しよう?

生きものを介した入力系統を作ることができるのか。できたとして安定させるのは難しそうだ──と私は、猫を撫でながらよいアイデアをしぼり出そうとする。でもこれといったものは思いつかない。猫の毛は柔らかく温かい。