2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

香辛料を扱った文庫本のシリーズが本屋の棚にずらっと20冊ほど並んでいる。タイトルはどれも「欺く」で、それはスパイスがひとの舌を翻弄するところから来ているらしい。欺の字が鋭角で細いデザイン性の高いフォントであるところには、否定的な言葉を洒落て…

ホテルの一室で知人(と夢では思っているが起きてみれば誰かわからない)女性から、息子をしばらく預かってほしいと頼まれた。マルという名前らしい、その子供は元気に部屋を走り回っているが、体の大きさは赤ちゃんほどで、すばしっこく、なにかジャングルで…

バーでタモリとウイスキーを飲んでいる。夜が深まるにつれタモリは姿勢を低くしていって、やがてカウンターテーブルにひだりの頬を付けたままこちらを向いて喋っていたが、やさしい口調の声はとぎれとぎれになり、ついには話の途中で黙ってしまう。サングラ…

お知らせ(9年目にして初の)

夢日記をつけていると夢を覚えている率が上がって明晰夢を見やすくなる、とはよく言われる話ですが、私の場合、明晰夢はよくわからないけど、確かに日記をつけるほど記憶が残りやすくなる実感があります。記憶が残りやすいというのは、夢が鮮明になり定着し…

旅客機の席に腰かけて飲み物を飲んでいる。それは疑いようもなく私が今まで乗ったどれよりも巨大かつ凝ったつくりの乗り物である。通路は何十年もかけて無計画に掘りすすめた地下街のように節操なく折れ曲がり、またその幅は一定することがなく、階はいつも…

坂になった大通りを歩いて下る。私はこの町の暮らしに愛着を持っている。なんの文句もない幸福感。それは今向かっている先から吹いてくる風のおかげでもある。やむことのない強風は地上を直線的に通り抜けるだけだけれど、上空では方向を変え続けていて、そ…