せまくて暗い場所にいる。壁を破りそこから出ると、まわりには大きな繭がたくさん、等間隔に並んでいた。それで自分もさっきまで繭の中にいたんだと気づいた。きっと繭ひとつひとつに人間が入っていてリフレッシュする、そういう健康ランドのようなものなのだろう。なんとなく入浴後のように気分が軽い。

帰ろうとタクシーに乗ったが、運転手が異様にスピードをとばす。このままでは事故になると思い、運転席にもぐりこみ手でブレーキを押すと、なんとか湖畔にとまって、私が降りると、タクシーは大きな白い狛犬(像ではなく、ふかふかした毛を持った犬。顔はネバーエンディングストーリーにでていたファルコンに似ている)に変身した。
狛犬は自分がなぜ暴走せずにはいられなかったのかを涙ながらに語った。なにを言っているのか内容がよくわからないながらも私は心打たれ、同情し、彼を抱きしめると、狛犬の顔の中心部が煤けたような色にかわった。
狛犬は落ち着くと、こういう感じに顔の色が変わるのだなぁと感心した。