どこか東南アジアの大学の食堂でピラフを食べていると、白人の男女がきて、私の向かいの席に座る。彼等は私のことを知っているようで親しげに話しかけてくる、のだけど、どういう付き合いがあったのか思い出せない。適当な英語を返すと、なんとなく会話は弾んでいく。

突然大きなチャイムが鳴り、食堂にいた生徒たちの多くが電車のホームに向かった。私もその人の流れのままに走っていたが、気がつくと電車の上にまたがって乗っていた。
前後にも私と同じように座っている人がいる。なれない私はスピードがあがるほどバランスをとるのが難しく、とばされそうになってしまう。

見渡すと電車の上にいるのは、みんな東南アジア系の人達で、どうやらこの乗り方は現地の人独特のものなのだと気づいた。ちゃんとまわりをみて、電車の中に入っておくべきだったのだ。とにかくしっかりつかまろうと私は体をこわばらせるが、周りの人は皆バナナボートにでも乗ってるように笑顔をみせ、それを楽しんでいるようにみえる。
列車はどんどん加速し、もう私には他人をみる余裕もない。そもそもどこに向かっているのかも知らずに乗り込んでしまった、後悔と恐怖に襲われる。