5分くらいまでの短い曲をキャンディーに変えるのが趣味という少年と、川辺で出会う。レコードの音を特別な薬品で抽出し固め、できたものを舐めると「その曲の持つ味」がするらしい。
少年は川に向かって失敗作のキャンディーを投げ捨てながら「ロックはよく水面を跳ねる」と言う。
「ひとつ何か味わってみたい」と私がいうと、少年はスキータデイビスThe end of the worldのキャンディーを巾着からとりだしてくれた。
彼と別れ、川沿いを歩きながら、これはきっと悲しい味がするんだろうなと私は想像していた。