小さな喫茶店。わたしは男2人、女1人と、店のいちばん奥の席に座っている。
音大生たちが大勢やってきて、男Aと思い出話をはじめる。男Aは彼等の先輩であり、慕われているようだ。なぜか音大生のひとりが私に挨拶をし、私も会釈する。
男Aは「もうすぐ終電だから」と、音大生たちと共に店を出た。

「我々も帰ろうか」と私は2人にもちかけるが、男Bは注文した料理がこないからまだ居ると言う。
とうとつに、男Bが窓の外に、くしゃくしゃに丸めた紙を投げた。
同席している女が顔をしかめ、男Bを睨んだ。
「これで店員がいるかわかるんだよ。ほら、誰も来ない。非難されるべきはこの店だろ」と男Bがいうと「別問題でしょ。店のなかに投げたのならまだしも、外に捨てたんだからその言い訳は通用しない」と女が返す。私は悪い雰囲気をなんとかしたいと思うが、言葉が何も思いつかない。

そのうちにウェイトレス(エリカ・バドゥに似ている)が料理を運んでくる。
窓の外は薄いピンクの夕焼け。私は女に帰らなくていいのかと訊く。女は「今からだと最終まにあわないし、仕方ないよね」といって微笑む。
列車が走る音が響き、床が揺れる。