朝起きて玄関をあけるとドアの前にAmazonダンボールが届いていた。昨日そういえば本を注文したんだった。箱の上にはA4サイズの封筒が置かれているが、こちらには覚えがない。手にとった封筒の上部には横長の液晶がはりついていて、それが電光掲示板のように右から左へニュースを流していく。液晶の下にはマジックでこう文字がかかれている。

「コンナイソガシイコロス」

コロスとは物騒な。しばらくみていると文字はすっと消えて、また別な脅迫文のような文面になった。目線をほかにやるたびにメッセージが変わる。

封筒の裏には「そのまま入れて返送」と書かれている。なるほど、これは私が注文キャンセルしたがいま届いてしまったものをいれて返品するための封筒なんだろう。それで、自分たちに手間をかけた私のうかつさを、ころころかわるカタカナの文字が責めているわけだ。

封を開けてみると、中には砂糖のような透明の粉が大さじ3ほど入っていた。半量ほどを手に乗せて舐めてみる。味はしない。なんなんだろう、もしかしたら毒や麻薬では。と体に入れたことを後悔したがもう遅い。

考えてみればAmazonがコロスなんて言葉をつかうはずはないし、この封筒は別なところ、たとえばヤクザからの誤配、または犯罪絡みの証拠隠しとか、よくわからないがことは楽しくない方向に広がる可能性がある。とにかく気軽に扱っていいものではなさそうだ。

 

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