風船画像収集

風船をテーマにしたゲームをきっかけに、風船の写真を集めだして半年くらいになる。もともと何かをしぼって集めるっていうマニア気質はないほうなんだけど(子供のころ牛乳瓶のフタを友達から回収してためていたけど、あれは一種類だからコレクションとはまた違う、のかな)なぜか風船の画像集めだけは止まらなくなって。
写真とはいっても現物じゃなく、ネットで画像検索してデータとして保存するだけだから労力としてはたいしたことなくて、本当の収集家からいわせれば暇つぶし程度の半端な趣味なのかもしれないけど。

ただ、ひとつ分かったのは、ものをたくさん集めると価値基準がだんだん質から珍しさへ移っていくっていうこと。綺麗な写真、芸術性のある写真、つまり良質なものが素晴らしいというのは勿論変わらないことだけど、ある程度たつとヘンテコな写真、モンド感みたいなのが重要になって、どんどんその傾向が強くなっていく。上下ではなく、左右に価値観が広がるというか。
たとえば今だと「写真家の撮った、パリの街角で風船をもっている美女の写真」よりは「素人が写ルンですで撮った、青森でリンゴをたべてるお爺ちゃんに水風船をなげる孫の写真」とかのほうがずっと欲しい。
レア物の価値が高くなるのは経済的にも当然だけど、それを支える心理的な力学がしっかりあってなんだなと、コレクターになってみて初めて実感した次第。いい加減にしないときりないですが。

んで、私のおもう風船写真の魅力は、一緒に写っている人がみんな愛しく、ちょっとだけバカっぽくみえることです。風船っていうのは泡を模した純粋な人工物で「虚」であり「嘘」であり無意味で軽くて中身がなくて、というマイナスが半回転してキラキラ輝いて見える感じ。手品を疑いながら信じ込めることのできる軽みを、風船と共にうつる人達の空っぽな笑顔は教えてくれます。人が写ってない風船画像も、みればみるほどへんにテンションがあがって幸せになる。特定の国を嫌っているという人は、その国の言葉の「風船」で画像検索すれば、だれでも絶対にそれが薄らいでいくんじゃないかと思うくらい。