ある女性と図書館にいる。我々はお互い好意を持ってるようだけど、ずっと離れて本を読んでいる。ときどき目を合わせるだけの日々が続き、8日後、ようやく、どちらともなく話をはじめた。

1番得意なことは何?」と質問された私は「水溜りをとびこえるのが上手いんですよ」と答えた。つまらない冗談を返したくないのに、何を訊かれてもそんな調子でおかしなことを言ってしまう‬のだった。

その人と会ってから10日目に、私は街を出ないといけない、以後は2度と会えないと、なにか大きなシステムによって決められ、変更は許されない。だから別れる前にきちんと話をしたい、少なくともまっとうな自己紹介をしなくてはという焦りがあるのだけど、いつまで経っても私はふざけた態度から逃れられないでいた。軽い自分を恨みながら、相手をみると、その人はずっと笑っていて、それでもうこのままの調子で良いのかもしれないと思った