おっとっと

大人になったと感じたのはどんな時?という質問をされたら「初めておっとっとの形を確認せずに完食してしまったことに気づいた時」と答えようと思ってる。その時はもう20歳を超えてたんだけど、本当に冗談じゃなくショックだった。まったくパッケージも見ずに、ただの炭水化物と塩分のかたまりとして無意識に食べてしまっていたんでした。おっとっとなんて、その形とパッケージに9割の価値がある商品なのに。それをわざわざ選んで買ったというのに。
おっとっとは子供時代大好きで、それまでは全てとは言わないまでも、少なくとも5個くらいは形を確認して、クジラだタコだと想像しながら海の雰囲気を味わっていた。けどでも一度それを無視してしてしまったからには、もうこれからは「それを意識しなおす」ことが必要で、それは着ぐるみを「中の人などいない」と笑ってから味合わなければならないのと同じことで。つまり戻れないんだなと意識させられたんです。そこに戻りたいとは願っているわけではなくとも、二度と戻れないというのを思い知ることはやっぱり寂しい。いくら古い玩具を捨てても表にでなかった感覚が、そのおっとっとで一気にやってきた感じだった。