友達(12歳くらい。整った顔で、学生服を着ている。知らない人だけど夢の中では友だちとお互いに認識しあっていて、私もどうやら同い年にみられているようだ)と大きな船に乗っている。彼は船のことをよく知っているようで、私を様々な船室に案内してどういう場所なのか(厨房。倉庫。カジノ)を説明したりする。
それから隠れんぼなんかをして(他にもいろんな遊びを長くした気がするけど覚えていない)船をでると、そこはその友だちの部屋だった。その船は彼の家の中にあったのだった。

降りてみると船は、ノアの箱舟の巨大な模型のようにみえた。
友達は「今日でこの船も最後だから、要るんなら板でもなんでも引っぺがして持って帰るといいよ。そこのカウチもあげるよ。犬に使わせたら喜ぶんじゃない」という。私は断るが、すでに甲板が一枚はがれていて、彼はそれを私に持たせる。
彼の母親は最近亡くなって、近いうちに家もあけ渡さなければならない、ということが私にわかる。友達は「これで最後だ。じゃあね」といって私を家から追い出した。

しばらく河原を歩いていたのだけど、もう1度会って挨拶をしなきゃいけないと思い、私はまた彼の家に戻り、ドアを開ける。友達は私をみて驚いた顔をして、それから目をそらせる。
「もう少しちゃんと話をしたくて」と私がいうと、彼は眉をしかめて、英語で喋りだす。彼の父親はアメリカ人で、もう日本語を喋らないと決めたらしい。それは私(あるいはもっと大きな何か)との決別の合図であり、そうしなければいけないほどに追い詰められ、彼も悲しんでいるのだということがわかる。私は「グッバイ」か「さようなら」か、どちらを選ぼうか迷うが、どちらも言わずに手をふってその家をでる。